価格モニタリングにおける商品マッチング:完全一致、容量違い、類似商品の扱い方
商品マッチング(product matching)とは、自社の商品一つひとつについて、競合の品揃えの中から対応する商品を探し、同じもの同士で価格を比較できるようにする作業です。EANコード(日本ではJANコード)で完全に一致する商品が、いつも見つかるとは限りません。チェーンが扱っているのは、容量違いの商品やプライベートブランド、あるいは別ブランドの商品かもしれないからです。そのため、マッチングにはいくつかのレベルがあります。完全一致、同じ商品の容量違い、そして類似商品です。最初の2つは、価格を同じ容量に換算すれば市場価格の計算に含められます。類似商品は並べて表示する価値がありますが、完全一致の価格と混ぜてはいけません。
なぜ競合の価格データだけでは足りないのか
競合の価格データは、たいてい数千行のリストとして届きます。売り場やサイトに書かれているままの商品名、価格、日付、店舗。ここには肝心なものが欠けています。それぞれの行と自社商品とのつながりです。
そこで、チームの誰かが「ミネラルウォーター 無炭酸 0.5L PET」という行を読み、自社にある12の水のSKUのうち、実際にはどれに当たるのかを判断することになります。1行ずつ、何千回も。しかも更新のたびにやり直しです。品揃えは変わり、販促用パッケージは現れては消え、チェーンは商品名を付け替えるからです。
その代償は次のとおりです。
- 更新のたびに数日分の作業。データが毎週届き、マッチングに3日かかるなら、チームは週の大半を同じ紐付けのやり直しに費やすことになります。
- 疲れによるミス。数百行を過ぎると、似た商品名の区別がつかなくなります。誤ったペアが1つあるだけで、カテゴリー全体の比較が気づかないうちに歪みます。
- マッチングしている間に価格が古くなる。食品スーパーのチェーンでは、特売は毎週変わります。売り場にはもうない価格をもとに、判断を下すことになります。
- 規模の限界。10店舗・500商品なら、まだ何とかなります。5チェーン・5,000商品となると無理です。その結果、カバー範囲は事業の必要性ではなく、人手の限界に合わせて決まってしまいます。
- 知識が一人の頭の中にしかない。マッチングのルールは、一人の担当者の記憶と1枚の表の中にしかありません。その人が辞めれば、すべてが振り出しに戻ります。
対応商品の3つのタイプ:完全一致、容量違い、類似商品
最も多い誤解は、マッチングには1種類しかないと考えることです。実際には、対応の「強さ」はさまざまで、それによって、その価格を何に使えるかが決まります。
- 完全一致。同一の商品です。ブランドも、商品の種類も、容量も同じ。最も確かな根拠はEANコードです。
- 容量違い。同じ商品で、容量や入数が異なるものです。0.7 Lと0.75 L、900 gのパックと1 kg、6本パックと1本、といった具合です。
- 類似商品。用途が同じ別の商品です。ナショナルブランド商品の代わりになるチェーンのプライベートブランドや、同じ価格帯の別ブランドがこれに当たります。
4つ目のケースもあります。シリーズ内のバリエーションです。ブランドは同じで、味や色が異なる商品を指します。必要な味がそのチェーンにないときに、目安として役立ちます。
これらのタイプを一緒くたにしてはいけません。類似商品を完全一致として計算すると、「当社のほうが12%高い」という結論は、実際には「何か別のものより12%高い」という意味になります。そのような数字では、価格の判断はできません。
自動マッチングの仕組み
自動マッチングは、1つの賢いアルゴリズムではありません。最も強い根拠から最も弱い根拠へと順に進む、一連のチェックです。Costless Insightsもこの仕組みになっています。
1. まずEANコード
EANコードは、商品のグローバルな識別子です。まれな例外を除けば、同じコードはどのチェーンでも同じ商品を指します。EANコードのある商品は、推測に頼らず自動でマッチングされます。ですから、自社カタログにEANコードの列を用意することは、分析の質を上げる最も安上がりな方法です。
例外も知っておくべきです。メーカーが、リニューアルした商品やまったく別の商品に古いコードを使うことがあります。また、チェーンには独自の社内コードがあり、EANに似ていても、そのチェーンの中でしか通用しません。そのため、コードが一致した場合でも、システムは商品名と容量を照合する必要があります。
2. 次に商品名の類似度、そしてチェック
チラシ、チェーンのSNS投稿、レシート、そして多くのサイトには、EANコードがありません。値札にも必ずあるとは限らず、チェーンの社内コードが載っていることがよくあります。こうした場合は、商品名の意味で商品を比較します。「ミネラルウォーター 炭酸入り 0.5L」と「強炭酸ミネラルウォーター 500ml PET」は、書き方が違っても近いものとして並びます。
ただし、名前が似ているだけではペアとは言えません。候補は次のチェックを通過する必要があります。
- 商品の種類。商品名に共通する言葉がどれだけあっても、餃子が小麦粉のペアになることはありません。
- ブランド。完全一致とするには、ブランドが一致していなければなりません。
- 容量と単位。0.5 L、0.05 L、5 Lは、3つの別々の商品です。
- バリエーション。味、脂肪分、ワインなら収穫年。2019年と2021年のワインは、価格の異なる別々の商品です。
3. 疑わしいものはすべて人が確認する
チェックを確実に通過しなかったものを、システムが自分で紐付けてはいけません。候補として提示し、人が承認するか却下するかを決めるべきです。誤った商品と紐付けるくらいなら、ペアなしのままにしておくほうがよいのです。
容量違い:同じ容量への換算
チェーンが、自社とまったく同じ容量を扱っていないこともあります。同じ商品であれば、競合の価格を自社の容量に換算します。例を挙げましょう。自社は0.7 Lのボトル、競合は0.75 Lで210 UAHです。0.7 Lに換算すると196 UAHになり、比較すべきなのはこの数字です。そうしないと、小さいパッケージのほうが常に安く見えてしまいます。
次の3つのルールを守らないと、換算はかえって害になります。
- 同じ単位の中でのみ。グラムとミリリットルは比較しません。
- 容量が不明なら換算しない。競合のパッケージの容量を特定できなかった場合、価格はそのまま表示し、計算には含めません。
- 差が大きすぎる場合は確認に回す。マッチング後の価格差が80%を超える場合、異なる入数や容量を比べている可能性が高いと言えます。たとえば、10個入りと1個の比較です。こうしたペアは計算に入れず、見直す必要があります。
最も厄介なミスは、「商品が違う」ことではなく、桁が違うことです。表の上では、もっともらしく見えてしまいます。
- 0.5を0.05と読み違える。小数点が1つずれるだけで、ボトルの価格は10倍になります。
- パックと単品。0.5 Lの6本パックを1本とマッチングすると、競合の価格は6倍高く見えます。
- 量り売り商品と個数売り商品。1キログラムあたりの価格と1個あたりの価格では、そもそも比較になりません。
これとは別に、単位価格も役に立ちます。1キログラム、1リットル、1平方メートル、1メートル、1個あたりの価格です。ケーブルは巻きの長さに関係なく1メートルあたりで、タイルは1平方メートルあたりで比較すると便利です。
類似商品:完全一致がないとき
完全一致がそもそも存在しないことも、よくあります。チェーンが、ほかでは手に入らないプライベートブランドを販売している。メーカーが、そのチェーン専用の容量を作っている。自社ブランドはそのチェーンにないが、買い物客が比較対象にする別のブランドが3つある。こうした場合はいずれも、類似商品が必要になります。
類似商品の選び方
条件を必須と補助に分けると便利です。必須条件で候補をふるいにかけ、補助条件で残った候補の中から最適なものを選びます。
必須条件:
- 商品の種類と用途が同じであること。
- 買い手が同じであること。子ども向け商品は大人向け商品の類似商品にはならず、植物性飲料は牛乳の類似商品にはなりません。
- 容量が同程度であること。小さなパックを大袋と比べることはしません。
補助条件:
- 価格帯
- 原材料と主な特徴
- パッケージの形態
味や色合いは、通常は妨げになりません。ほかの条件が一致していれば、あるブランドのストロベリーヨーグルトは、別のブランドのピーチヨーグルトの類似商品になります。
類似商品が当てにならない場面
- プレミアムとエコノミー。低価格帯のプライベートブランドとプレミアムブランドは、応えているニーズが異なります。両者の価格差はブランドの対価であって、自社の競争力のなさを示すものではありません。
- 濃度と使用量。洗濯40回分の濃縮ジェルと、20回分の通常タイプが、同じ容量ということもあります。この場合、1リットルあたりの価格は当てになりません。計算すべきなのは洗濯1回あたりの価格です。
- ペアは古くなる。商品が販売終了になる、配合が変わる、価格はそのままで内容量が減る。類似商品のペアは、品揃えの見直しと合わせて見直すとよいでしょう。
類似商品の価格をどう扱うか
類似商品の価格は、容量換算をせずそのまま使い、類似商品であることを示すマークを付けて並べて表示します。初期設定では、市場最安値には含まれません。類似商品を計算に含めたい場合は、レポートの個別設定で有効にできます。大切なのは、それがペアのタイプが混ざった結果ではなく、ご自身の選択であることです。
そして何より、完全一致は価格判断の根拠になり得ますが、類似商品はどこに目を向けるべきかを示すにすぎません。判断を下すのはカテゴリーマネージャーです。
誰がペアを承認するのか
2つの商品が本当に同じ買い物客を奪い合っているのかを最もよく知っているのは、そのカテゴリーを担当している人です。そのためCostlessでは、類似商品のペアは必ずお客様の確認を経ます。
- システムが候補を提示し、お客様が承認または却下します。
- 却下したペアは、二度と提示されません。
- 独自の紐付けを手動で追加でき、これはほかのすべての紐付けより優先されます。
- 紐付けは一度作成すれば、その商品を扱うすべてのチェーンで有効になります。
お客様ご自身の紐付けのほかに、当社のモデレーションが承認した、プラットフォーム全体で共有されるペアもあります。これらは、自社の容量が扱われていないチェーンのセルを埋めます。共有セットの類似商品は、まず参考情報として表示されます。ペアが適切だと思えば、ワンクリックで固定してください。それがお客様自身の紐付けとなり、レポートに反映するかどうかもご自身で決められます。
精度とカバー率:マッチングの質をどう評価するか
「精度99%」という言葉は、説明がなければほとんど何も語りません。マッチングの質は2つの数字で表され、両方を見る必要があります。
- 精度とは、見つかったペアのうち正しいものの割合です。
- カバー率とは、自社の品揃えのうち、そもそもペアが見つかった商品の割合です。
この2つは逆方向に引っ張り合います。チェックを厳しくすれば誤ったペアは減りますが、ペアのない商品が増えます。チェックを緩めれば埋まるセルは増えますが、その一部は誤りになります。誤ったペアは空のセルより厄介です。空のセルは目に見えますが、誤ったペアは気づかれないまま数字を狂わせるからです。
データ提供会社に確認すべきこと
- マッチングをするのは誰ですか。自社ですか、提供会社ですか。未加工の行データを渡されるだけなら、自社チームの数日分の作業も、本当のコストの一部です。
- EANコードがある場合、それは使われていますか。
- 完全一致、容量違い、類似商品は区別されていますか。また、どの価格がどのタイプのペアによるものか、レポートで分かりますか。
- 0.5 Lと0.05 L、複数個入りのパック、量り売り商品はどう扱われますか。
- 類似商品の使い方を決めるのは誰ですか。類似商品の価格を市場価格の計算に含めるのか、並べて表示するだけにするのかを、自社で選べるのが理想です。
- ペアを確認して修正できますか。また、システムはその修正を記憶しますか。
- 提供会社はサイトだけでなく、売り場も見ていますか。ブランドにとっては特に重要です。ブランドモニタリングは、商品が実際に販売されている場所でこそ意味を持ちます。
よくある質問
価格モニタリングにおける商品マッチングとは何ですか?
自社の商品一つひとつについて、競合の品揃えの中から対応する商品を探し、同じもの同士で価格を比較できるようにする作業です。マッチングがなければ、競合の価格データは、活用しようのない行のリストのままです。
類似商品は完全一致と何が違いますか?
完全一致は同一の商品です。ブランド、商品の種類、容量が同じで、通常はEANコードも同じです。類似商品は用途が同じ別の商品で、たとえばナショナルブランド商品の代わりになるチェーンのプライベートブランドです。完全一致の価格は市場価格の計算に含められますが、類似商品の価格は参考情報として並べて表示するのが適切です。
容量の異なる商品同士を比較できますか?
はい。同じ商品で、両方のパッケージの容量が分かっていれば可能です。競合の価格を自社の容量に換算します。0.75 Lで210 UAHなら、0.7 Lでは196 UAHに相当します。換算できるのは同じ単位の中だけで、グラムとミリリットルは比較しません。
プライベートブランドの価格をナショナルブランド商品とどう比較すればよいですか?
類似商品として比較します。商品の種類と用途が同じで、容量が同程度であることが条件です。価格帯にも注意してください。低価格帯のプライベートブランドとプレミアムブランドは、買い物客の異なるニーズに応えているため、両者の価格差は自社の競争力についてほとんど何も語りません。
類似商品をもとに価格を自動で変更すべきですか?
いいえ。類似商品は別の商品であり、価格差はブランド、原材料、濃度で説明できる場合があります。類似商品の価格はどこに目を向けるべきかを示すもので、判断を下すのはカテゴリーマネージャーです。
類似商品のペアは誰が承認すべきですか?
カテゴリーをよく知る人です。システムは候補を提示できますが、2つの商品が本当に同じ買い物客を奪い合っているかどうかを知っているのはカテゴリーマネージャーです。承認したペアがずっと保存され、却下したペアが二度と提示されない仕組みが理想です。
「マッチング精度99%」とは何を意味しますか?
説明がなければ、ほとんど何も意味しません。どのサンプルで測定したのか、完全一致だけを数えているのか類似商品も含むのか、そしてそのときのカバー率、つまり自社の品揃えのうちペアが見つかった商品の割合はどれくらいかを確認してください。チェックを厳しくすると精度は上がり、カバー率は下がります。
何から始めるか
まずは、EANコード付きのカタログから始めましょう。完全一致のペアは自動的に揃います。次に、ペアが見つからなかった商品を確認し、容量違いまたは類似商品を固定します。これは一度きりの作業で、その後は毎日役立ち続けます。
Costlessは、100以上の小売チェーンを対象に単一の商品カタログを管理し、チェーンに応じて毎日から毎週の頻度で価格を更新しています。データの収集と検証の方法は、メソドロジーのページで説明しています。アカウントを作成するか、お問い合わせいただければ、お客様の品揃えでマッチングをご覧に入れます。
Costlessをビジネスにご活用ください
小売チェーンの価格と品揃えを、オンラインと実店舗の棚の両方でモニタリング。